ゲノム解析の装置として利用されている次世代シーケンサー。しかし、これには複数の種類が存在するため、解析目的に応じて適切な装置を使う必要があります。ここでは、多くの受託企業で導入している次世代シーケンサーの装置について詳しくみていきましょう。
こちらも「illumina社」のシーケンサーのひとつで、デスクトップ型シーケンサーと呼ばれるものです。試薬をカセット化することで簡単な操作を実現しており、本体のみで一貫した解析が可能なのが特徴です。つまり、コマンド知識や解析サーバーの知識がなくても利用でき、専任のオペレーターを設置する必要がないというわけです。10Gb程度であれば2~3日で出力されるなど、スピーディーな進行も魅力と言えるでしょう。
NovaSeq6000はillumina社のシーケンサーのひとつで、幅広いアプリケーションに対応。1度のシーケンス解析で大量のデータを取得できるのが特徴であり、高密度整列化フローセルや専用ケミストリーが搭載されていることから、高品質なデータの提供が期待できます。
「illumina社」MiSeq、「illumina社」NovaSeq6000はいずれもショートリードシーケンサで、DNA 1断片あたり解析できる長さは短い(最大で300bp(300塩基対))のですが、膨大な断片数(機種により数百万~数百億)のシーケンスを同時に解析することが可能です。
まず、シーケンサー機器を取り扱うメーカーの中でも代表的なもののひとつ「illumina社」のHiSeq 2500。
同社はフローセルと呼ばれるスライドグラスの上に断片化したDNAの1本鎖を貼り付け、断片の相補鎖(2本鎖のDNAに相対する鎖)を合成することで塩基配列を決定するという独自技術(Sequence-by-Synthesis法)が特徴で、特にこちらのHiSeq 2500は150bp×2程度のシーケンスを2~3日でスピーディーに完了可能と、ハイテクな仕様となっています。
なお、HiSeq 2500は販売を終了しています。
ターゲットリシーケンスを含め、幅広いゲノム解析に対応。1度のアッセイにつき100Gbpを超える配列を高精度で決定でき、ペアエンドを併用すればゲノムサイズが大きなものに対しても詳細な解析が可能となります。
ディープシーケンス(読み取り深度を高めること)を行えば見つかりにくい遺伝子変異の検出も見込めるので、がん細胞の発見や再発診断への応用、ゲノム構造異常(コピー数異常・染色体転座)の解析なども期待されているそうです。
エピゲノム解析は、DNAの塩基配列を変えずに遺伝子の働きを決める仕組みを解析するもの。つまり、遺伝的要因で受け継がれる遺伝子と受け継がれない遺伝子の違いなどを見る方法ですね。HiSeq 2500ではクロマチン免疫沈降法(ChIP法)により、染色体DNAに関わるたんぱく質がどのように分布しているかマッピングすることで、そういったエピジェネティック情報の網羅的な解析が可能です。DNAメチル化状態の解析など、その他にも様々な範囲に応用できます。
統計学的手法などを用い、個々の遺伝子の発現量を解析することで遺伝子の機能やネットワークの分析を行うトランスクリプト解析。HiSeq 2500では細胞内の転写産物を鋳型として相補鎖DNAを合成し、その配列をシーケンスすることで転写産物の網羅的解析を実現しています。これまで解析が困難だった、もしくは新規の解析にも応用が期待される方法です。
最後に「PacBio」は、株式会社トミー精工から独立した企業、トミーデジタルバイオロジー株式会社が提供するシーケンスシステム。「Sequel IIe」「Revio」などの機種があり、「Sequel IIe」「Revio」はいずれもロングリードシーケンサで、DNA 1断片あたり解析できる長さは長く、10kbp(10,000bp)以上解析可能です。ただし、本数はIllumina社よりは少ないといった特徴があります。
「Sequel IIe」であれば、~400万本程度で、「Revio」であれば~1,300万本程度で、「Sequel IIe」の3倍の出力です。
また「PacBio」といえば、前途しているようにロングリードで知られているメーカーですが、ショートリードにも対応する「Onsoシステム」といった機種も出してきています。Illumina社製と似たようなスペック(解析長は100~200bp程度)で、4~5億本のDNA断片の解析を行うようです。
このように、シーケンサーにはそれぞれの会社ごとに、様々な用途に合わせたものが開発されています。目的や研究内容に沿って選択することが大切なので、初めて次世代シーケンス解析を行う際には専門的な知識に基づき、適した方法を提案してくれる会社を探すのが良いでしょう。
「実験相談窓口」を設け、様々な生物種や解析目的に応じた実験計画から実験プロトコル、データ解析まで研究者の立場に立った提案をしてくれる。
遺伝子解析の中でも、ThruPLEX技術を用いたタカラバイオオリジナル解析サービス「cfDNA変異解析」を提供。変異した遺伝子を検出。
遺伝子バイオマーカーの測定から、コンパニオン診断薬(CDx)を含む体外診断用医薬品の開発、薬事申請、製造販売までワンストップで対応。
【選定条件】
※2023年2月20日調査時点で「次世代シーケンス解析 受託」とGoogle検索し、50位までに表示されるNGS受託サービスを提供する企業29社のうち、「ISO9001」を取得し、他社の受託解析を代理店販売しておらず、公式HPでサービス内容をしっかり確認できる日本資本の会社を3社ピックアップ。その中から公式サイトで確認できる情報をもとに以下の条件で要件ごとに各サービスを選定。
初めての受託解析…北海道システム・サイエンス(調査した結果、3社のうち唯一、実験相談窓口※サービスを行っている)
※参照元:北海道システム・サイエンス公式HP(https://hssnet.co.jp/product/total-support/)
cfDNA変異解析…タカラバイオ(調査した結果、3社のうち唯一、オリジナルcfDNA変異解析※を提供している)
※参照元:タカラバイオ公式HP(https://catalog.takara-bio.co.jp/jutaku/basic_info.php?unitid=U100009437)
新薬の開発…理研ジェネシス(調査した結果、3社のうち唯一、開発・薬事申請・製造販売までワンストップで対応※できる)
※参照元:理研ジェネシス公式HP(https://www.rikengenesis.jp/placement/development.html)