解析したい配列に対して何度も配列断片を取得していく次世代シーケンス。その配列を読む長さをリードと呼びます。現在、次世代シーケンスで世界的なシェアがあるのはIllumina社の機器とPacBio社の機器。Illumina社の機器はショートリードがメインで、PacBio社の機器はロングリード中心という違いがあります。ここでは、ショートリードとロングリードの違いについて解説していきましょう。
まず、ショートリードシーケンサーとロングリードシーケンサーにはどのような違いがあるのか?というと、以下のようにメリットとデメリットで見ていきましょう。
これは主にIllumina社が主力として開発している製品で、ゲノム配列を読む際に短くバラバラの断片にしてから、並列で読み取り元通りに情報を再構築するという方法が取られています。
ショートリードは短い配列ごとに読み取れるので、領域がある程度単純だったり狭かったりする解析に関しては高い正確性が期待できます。また、並列処理のためスピーディー、かつ低コストなのが特徴です。しかし、リピート領域(繰り返し領域)やGCリッチなどリードを跨がないと内容を読み取りにくい場では、解析が難しいこともあります。
対してロングリードシーケンサーはPacBio社の主力製品として知られ、ゲノム配列をバラバラの断片にせず、長いままで読み取るのが特徴。
対して、ロングリードシーケンサーはリードを長いまま解読できるので、前述したような特定の条件下ではリードを跨いで確認可能。ショートリードより正確な結果を検出しやすいと言えるでしょう。ただし、その分ランニングコストが高く、短いリードに使用すると正確性で劣るという点も。
では、ロングリードを得意とするPacBioシーケンスが有効なアプリケーション例は?というと、以下のようなものが挙げられるでしょう。
全ゲノム解析(シークエンシング)は、充実した遺伝子情報を得られる分費用や作業コストが高くなりやすいと言われています。実際、数百塩基単位のショートリードをまとめる方法だとギャップ(隙間)が生まれやすいとされていましたが、PacBioシーケンスならロングリードのまま解析が可能なので、ギャップを防ぐことが可能です。
RNA-Seqにおいてアイソフォーム(同じ機能で構造が異なるたんぱく質等)が存在する場合、判別は困難な傾向があります。PacBioシーケンスなら1つのリードで mRNA 分子全体を網羅できるため、アイソフォームが混在する場合でもそれを区別しやすいでしょう。
各リードが似た配列となるリピート領域においては、その数や繋がり方を判別しにくい傾向があります。しかし、PacBioのロングリードを用いれば入り口から出口まで1つのリードでカバー可能なので、領域の全体を把握しやすいのではないでしょうか。
このように、ロングリードシーケンサー(PacBioシーケンス)は、主にショートリードでの解析が困難な場合には大いに活躍できる可能性があると分かりました。ショートとロング、それぞれに長所が存在するため、次世代シーケンス解析の際には研究目的や配列の特徴などをふまえ検討したいものです。
「実験相談窓口」を設け、様々な生物種や解析目的に応じた実験計画から実験プロトコル、データ解析まで研究者の立場に立った提案をしてくれる。
遺伝子解析の中でも、ThruPLEX技術を用いたタカラバイオオリジナル解析サービス「cfDNA変異解析」を提供。変異した遺伝子を検出。
遺伝子バイオマーカーの測定から、コンパニオン診断薬(CDx)を含む体外診断用医薬品の開発、薬事申請、製造販売までワンストップで対応。
【選定条件】
※2023年2月20日調査時点で「次世代シーケンス解析 受託」とGoogle検索し、50位までに表示されるNGS受託サービスを提供する企業29社のうち、「ISO9001」を取得し、他社の受託解析を代理店販売しておらず、公式HPでサービス内容をしっかり確認できる日本資本の会社を3社ピックアップ。その中から公式サイトで確認できる情報をもとに以下の条件で要件ごとに各サービスを選定。
初めての受託解析…北海道システム・サイエンス(調査した結果、3社のうち唯一、実験相談窓口※サービスを行っている)
※参照元:北海道システム・サイエンス公式HP(https://hssnet.co.jp/product/total-support/)
cfDNA変異解析…タカラバイオ(調査した結果、3社のうち唯一、オリジナルcfDNA変異解析※を提供している)
※参照元:タカラバイオ公式HP(https://catalog.takara-bio.co.jp/jutaku/basic_info.php?unitid=U100009437)
新薬の開発…理研ジェネシス(調査した結果、3社のうち唯一、開発・薬事申請・製造販売までワンストップで対応※できる)
※参照元:理研ジェネシス公式HP(https://www.rikengenesis.jp/placement/development.html)